ショーパブの栄枯盛衰~消えていくショーパブ文化~
ショーパブの栄枯盛衰~消えていくショーパブ文化~
2019年1月。
コロッケさんのショーパブ「コロッケミミック東京」が閉鎖した。
(ホームページより)
鳴り物入りでオープンし、テレビやマスコミで大々的取り上げられスタートしたにも拘らず早い閉幕だった。
「モノマネショーパブ」と言う形態でショーを見ながらお酒や食事を楽しむお店だ。
似たような例で記憶に新しい所では・・
2018年7月21日、都内に「Tokyo Ruby」と言うショーパブがオープンした。
タレントで実業家の「はるな愛」さんが全面プロデュースした本格的エンターテインメントショークラブであった。
約2億円かけオープンしたが、その店はオープンからわずか10日ほどで休業する事態となった事は記憶に新しい。
様々な憶測が駆け巡っているが、蛇の道は蛇。
夜の世界、経営、運営と、煌びやかなショーの世界を融合させるのは今の日本では難しい事になってしまった。
その原因は何なのか?
歴史と共に日本の「ショーパブ文化」を掘り下げてみたい。
消えていくショーパブ
【定義】ここで言う「ショーパブ」とは、プロの男性ダンサー、女性ダンサー、ニューハーフ、が出演し、定時に「ショー」を行うエンターテイメントショー・クラブの事で、「女性だけ」の「バーレスク」や「キャバクラ」などはいれていない。
2018年
■ 六本木香和(かぐわ)閉店(2018年10月30日移転してオープン)
■ 銀座Corvette 閉店(2018年2月23日移転してオープン、ただしショーはやっていない。)
■ 銀座フレイバー閉店
■ 銀座白いばら(老舗のショーが見れるキャバレー)12月閉店。
2017年
■ギャルソンパブ 閉店・・・・
現在、東京都内で残ってる「有名な」ショーパブは
「新宿・黒鳥の湖」
「六本木・金魚」
「銀座・こんぱる座」
ぐらいになってしまった。
一昔前、「ショーパブ」が大変もてはやされた時期があった。
常に満席で「ショータイム」を見るためには予約をしなければ入れないほどの状態であった。
お客様の中には、某、有名政治家、大物芸能人、新人タレント、アイドル、某有名、広告代理店、テレビプロデューサー、作家、スポーツ選手の社交場として、活気に沸いていた。
記憶に残る幻のショーパブ・ショータイム
記憶に残る有名なお店としては
■ 新宿「KON」
■ 新宿「ショーボート・5I」
■ 新宿「アルカザール」
■ 六本木「チャクラマンダラ」
■ 赤坂「コルドンブルー」
■ 赤坂「タップチップス」
■ 赤坂「レッドヒールズ」
■ 渋谷「阿吽・AUN」
■ 本八幡「武士(サムライ)」
■ 六本木「RAGAZZA.(ラガッサ)」
■ 札幌「ナイトステージ・シュウ」
■ 銀座「 ココナッツ」
■ 六本木「ヒットパレード」
などがある。
なぜ? ショーパブがなくなっていくのか?
では、なぜショーパブがなくなって行くのか?
その一番の要因は【風営法の改定】である。
風俗営業の種別
風俗営業は、その種別に応じて以下のように1号営業から8号営業までに分類されます。
風営法においては1号営業から6号営業までを『接待飲食等営業』といい、7号営業・8号営業は『遊技場営業』といわれています。
また、風俗営業の営業時間は原則として、日の出から深夜0時までとなります。(7号営業・8号営業を除く。)
例外的に各都道府県の条例により、深夜1時まで営業が認められている地域があります。
私の記憶が正しければ、2006年、2007年頃に改正された風営法によって、深夜1時以降の「深酒」以外の深夜営業が禁止になり、
取り締まりが厳しくなりました。(それ以前かも知れませんが、取り締まりが厳しくなったのはその頃です(六本木))
ショーパブの醍醐味は、何と言っても「隣に座って接客してくれていた人」が「ステージで踊ったら別人のように見える」事にあります。(笑)
分かりやすく言えば、各テーブルでお酒を作ってくれたり、一緒に飲んでお話していた人が、ショータイム(AKB劇場のようなショー+宝塚のようなショー)が始まると、見事なダンスやパフォーマンスを見せてくれる。
それに感動して、次から次へとお客様がお客様を連れてくる。
それが、昭和後期から平成初期にかけての「ショーパブのスタイル」でした。
正直、業界関係者は夕方19時~22時くらいの早い時間帯のお客様は「一見さん」とみており・・深夜から朝にかけて来店される「常連さん」がメインな営業でもあります。
何処のお店でも、「チャージ料」として数千円、+ワンドリンク、ワンフードでお一人様の客単価を最低¥5000くらいは見積もっています。
「シアターレストラン」などでも多いパターンだと思いますが・・正直、早い時間のお客様の客単価では店は運営していけません。
ショースタッフが席について、一杯千円のキャストドリンクを飲んだ所で、そうそう売り上げが上がるものではありません。
深夜の時間帯、1本5万円、10万円のシャンパンがポンポン空いて、1つのテーブル4~5人で1席のお会計が、5万、10万になってからが、ショーパブの本領発揮となります。
しかし、深夜1時以降(12時以降)の営業ができないとなると、その重要な営業時間帯に営業ができない事になります。
大体、どの店も約30分~1時間のショーを、20:00、22:00地域によっては0:00からと2回~3回ショーをやり、その合間に入れ替えや、接客をします。
その接客時間が長ければ長いほど、売り上げは上がるのですが、お客様の入れ替えが入ると、そうそう接客時間も引き延ばせません。
深夜の時間帯に営業が出来なくなって、店仕舞いをしたケースはいくつもあります。
風営法で0時以降の接客が出来ない=昼の店に例えるならば12:00以降にランチタイムが出来ないようなものです。
ショーの魅力と価値が細分化した
今の時代、「LGBT」と言う言葉が生まれた。
(「Lesbian」(レズビアン、女性同性愛者)、「Gay」(ゲイ、男性同性愛者)、「Bisexual」(バイセクシュアル、両性愛者)、「Transgender」(トランスジェンダー、出生時に診断された性と自認する性の不一致)の頭文字をとり、セクシュアル・マイノリティー(性的少数者)の一部の人々を指した総称。)
一昔前は、元・男性なのに「こんなに綺麗!」そして「面白い!」と言う事に価値があった。
そういう人達を見るためには「ショーパブ」に行かなければ見れなかった。
しかし、今は「テレビ」や「YouTube」などで安易に探し見る事ができる。
出演する側も、昼間はレッスン、夜はショー出演に接客、と、多忙で厳しいスケジュールと、挨拶や上下関係、人間関係に厳しい夜の仕事につかなくても、昼間普通に働けるようになってきている。
時代の変化と共に「若くて綺麗なニューハーフ」の方々が「ショーパブ」にわざわざ働きに行かなくなってきている。
同時に魅力的な「ショーパブ」自体が無くなってしまった。
あたかも過疎化していく地方都市のような状況になってしまったと言わざるおえません。
時代のうねりの中に消えていってしまう一つの文化。
そうなってしまったのかもしれませんね。
全盛期のショーパブ・黒鳥の湖。
1日3回のショータイムは常に満席でした。
今でも見れる おススメ ショーパブ
それでも、今なお頑張ってるショーパブは有ります!
是非、一つの文化として、見てみては如何でしょうか?
■ 新宿・黒鳥の湖
■ 六本木・金魚
(随時追加予定)