Johnny's

第24話「田原俊彦とジャPAニーズ」(後編)

たけJI

[box03 title=”第24話「田原俊彦とジャPAニーズ」(後編)”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]



スタジオの片隅で突っ立ったまま感動で動けなくなった。

ジャニーさんがスタジオの片隅にパイプ椅子を用意してくれた。

そこに座るように促され、僕はパイプ椅子に座った。

練習は続いている。

練習をしている5人以外は、先ほど電話したマネージャーらしい人が1人いるだけだ。

5人の息の揃ったダンスが目の前で繰り広げられている。

そのレッスンを見ている事が信じられなかった。

俊ちゃんがマイクを持っているそぶりをしながら目の前に来た。

1メートル手前で、マイケルジャクソンのまねをしている。

視線が合う。

背中がゾクゾクとした。

テレビの中で見て憧れていた本人が目の前で踊っているのだ。

しかも、見ているのは僕一人だけだ。

見つめたまま固まった。

時間が経つのを忘れ見入っていたが、急に音楽が途切れた。

「休憩にしたら! ご飯食べない? 弁当あるから! 」

ジャニーさんが声を掛けた。

張りつめた空気が急に和やかな雰囲気に包まれた。

ジャニーさんがこっちを向いて言った。

「ユー、あっちに給茶機があるからお茶を5つ持ってきて! 」

「は、はい! 」

僕は慌てて席を立った。

ジャニーさんが指差した方向に給茶機があった。

僕は紙コップにお茶を注ぎ、近くにあったお盆に5個の紙コップを載せて食事をしている5人のもとに運んだ。

真っ先に「俊ちゃん」の元へお茶を運んだ。

「失礼します。お茶です。」

当たり前の事を言って、恥ずかしさを覚えた。

しかし、お茶をこぼさないようにするのが精一杯だった。

お茶を配り終えるとジャニーさんが言った。

「ボビー! 彼、今度ジュニアに入ったから! 」

唐突な紹介に戸惑った。

「よろしくお願いします! 」

ボビーさんが、軽く会釈してくれた。

「来週の日曜日、1時からここでレッスンがあるから」

とジャニーさんが言った。

「まだ電車ある? 」

時計を見ると10時30分過ぎだった。

「大丈夫です!」

「じゃ、来週ね!」

「はい、失礼します!」

と言って挨拶をしてリハーサル室を出た。

テレビ朝日を出て日比谷線の改札口に向かいながら思った。

「彼女に何から話そうか? 」

「親に何て説明しようか? 」

今日1日で色んな事があった。

そして色んな芸能人に逢った。

一つだけはっきりしているのは、今日今、この日から僕はジャニーズジュニアになったと言う事だった。

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