第53話「やっと会えたね」
[box03 title=”第53話「やっと会えたね」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]
ふっーとため息を吐く。
二子玉川の改札近くにある駅前の柱の下にしゃがみこんでいた。
僕は心の中で叫んだ。
「時間よ! 早く経ってくれ!」
そう願うばかりだった。
足が痺れてきた。
立ち上がるとようやく5時30分になっていた。
「さあ来るだろう!」
聞き間違えなのか彼女が遅れたのかこれではっきりする。
そう思い改札口を眺めるが一向に彼女の姿は無い。
さあて、どうしたものか?
とりあえず6時30分までは待ってみよう。
そう決めた。
学園祭の片付けなどで時間がかかっているのかも知れない。
普段一緒にいてあげられない罪滅ぼしに、ただ、待ってあげれば良いだけだ。
ジャニーズに入った直後に別れ話が出た事もあるが、お互いにもう別れられなくなっていた。
彼女を喜ばせたいから頑張れる。
嫌な事が有っても、
辛いことが有っても、
彼女に話す時には笑い話にできる。
そんな「人」に今まで出会った事がない。
僕にとってはこの世界中で一番大切な人だ。
そんな事を思いながらぼんやりと改札口を見つめていた。
彼女と出会った時の事を思い出した。
自由が丘の夏のアルバイト。
同じストアーの中を赤いサンダルで走り回っていた彼女。
初めて見た彼女の制服姿。
その可愛さにドキドキした。
毎朝、待ち合わせている二子玉川の駅のホーム。
山下公園で夕陽を見ながらの初めてのキス。
初めての経験。
彼女と仲間と皆で行った新宿歌舞伎町のDISCO
初めて会った時は緊張したご両親との挨拶。
彼女の妹弟との挨拶。
二人で過ごしたクリスマス。
プレゼント交換。
ジャニーズに入っていなければ婚約ぐらいはしていたかも知れない。
そのぐらい大好きだった。
でも、、、
今は芸能界で成功するまでは中途半端な約束は出来ない。
大スターやTOPアイドルにならなくてもいい・・。
後ろで踊るダンサーでいい。
ただ、それで食べていけるくらい稼げるようになりたい。
俊ちゃんの後ろで踊っていたボビーさんや、乃生ちん、板野さんや、トミーさんのようなバックダンサーになりたい。
そんな事を思いながら時計の針を見ると6時30分を過ぎていた。
帰宅する人の波は増殖するように10分毎に倍々に増えて行く。
7時を過ぎる頃にはピークを迎え、溢れかえる人、人、人の波。
改札口から吐き出されるように出てくる圧倒的な数のサラリーマンが、途切れる事無く行列を成していく。
「蟻の行列みたいだ」
そんな事を思いながら柱にもたれていた。
8時を回った。
もはや、「逢えればいい」そんな気持ちになっていた。
彼女の身に何かあったのでなければ全て許せる。
人がチラチラ見ていくのも気にならない。
改札口の先の階段をただぼんやりと眺めていた。
それからどれだけ時間が過ぎたのだろう。
下りホームがある階段に「見覚えがある人影」が見えた気がした。
改札口の先の左側の階段を勢いよくかけ降りて来る女子高生の姿がある。
「間違いない! 彼女だ!」
嬉しいと言う気持ちと良かったと言う安堵感が広がった。
人波を掻き分け改札口を出た瞬間、目の前にいる僕の姿に気が付く。
「よぉ! やっと会えたね!」
と言って片手を上げた。
精一杯格好をつけたつもりだった。
しかし、彼女の反応は無く、顔がみるみる歪んで両目から涙が溢れだしてきた。
次の瞬間両手で顔を覆い子供のように「ふえーん」と泣き出した。
「おいおい、泣くなよ!」
僕は予想外の反応に戸惑った。
こんな時に、どうしたらいいのか解らない。
なんて言葉をかければ良いのか解らない。
ただ、自然に手が動いた。
「泣くなよ!」
そう言いながらそっと、優しく頭を撫でる。
気のせいか、人が避けて通っている気がした。
しかし何も気にはならない。
僕は目の前に彼女がいる幸せをかみしめていた。
「やっと会えたね・・」
そう呟いた。
時計の針は9時を指していた。
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