Johnny's

第54話「彼女の泣き顔」

たけJI

[box03 title=”第54話「彼女の泣き顔」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]


待ち合わせの時間から4時間。

やっと彼女に逢えたのだが、僕を見た途端、泣き出してしまった。
 
二子玉川駅の改札口の真ん前であたかも子供のように泣いている。

泣き出した彼女になすすべもない。

とりあえず、通行の妨げにならないよう、人波にさらわれないように柱の方へ歩かせた。

やはり、女の子の涙は苦手である。

どうしていいのか解らない。

顔を両手で覆ってしゃくり上げて泣いている。

思いついた言葉を投げかけてみる。

「もう、待ってないと思った? 」

泣いたまま頭を上下に大きく振った。

「もう帰っちゃったと思ったのか?」

また大きく頭を上下に振る。

その子供のような仕草が可愛くて思わず腕の中に抱きしめた。

すると嗚咽を堪えながら、一言一言ゆっくりと話し出した。

「だって、、待ち合わせから4時間も経ってるんだよ」

泣きながらようやく喋り始める。

「今日はちょっと早く着いたから4時間30分待ちぼうけだ」

と言うと又顔を歪めた。

また、泣かれても困る。

「何時間でも待ってやるよ」

と言ってオデコにキスをした。

シャンプーのいい香りがした。

暫く黙ったままでいたが、ようやく落ち着いたのか、彼女が喋りはじめた。

「学校出て、直ぐに、明の家に電話したの、、、そしたら、まだ帰って来てないって、言うから、、急いで来たの、、、」

しゃくり上げながら途切れ途切れにそう言った。

「だって今日どうしても会いたかったんだろう?」

また大きく頷いた。

「早く、帰ろうと、帰りかけたらね、、先生に捕まって、実行委員長だから、最後まで、居なきゃ駄目だって、、」

と言ってその事を思い出したのかまた泣き出しそうになり顔が歪んだ。

事の真相は、そう言う事だった。

聞き間違えでも、僕が間違えたわけでも、彼女が悪いわけでもない。

学生だったら良くある話だ。

「もういいよ。大丈夫、解ったから、泣き止めよ」

「怒ってない、の?」

「逢えたんだから・・それでいい」

「ごめんね」

柱にもたれかかって思い切り彼女を抱きしめた。

「もう泣くなよ」

そう言って右手で彼女の頬に触り顔を上げた。

そして親指で左の目尻の涙を拭いてやる。

「ごめんね、、」

と動いた彼女の唇に、唇を重ねた。

心が溶け合って行く。

泣き止むまでいつまでも唇を重ねていた。

「どうして今日会いたかっんだ? 」

ようやく泣き止んだ彼女を歩きながら家まで送る。

彼女の家は駅から3分もかからない。

多摩川の土手に近い場所にある。

「何かね、、、高校時代の思い出を作りたかったの!」

泣き止んだ彼女は、どこか少し大人びた顔つきになっていた。

「来月になったら、もう12月だし、私も就活だし、、そしたら、、」

と言って口ごもる。

僕は立ち止まった。

彼女の方に向き直って聞き返した。

「そしたら?」

彼女が上目遣いに僕を見つめている。

この角度の顔が一番好きだった。

唇が動いた。

「もう卒業だよ」

繋いでいた手にギュッと力を込めた。

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