第70話「ペンライトの光の中で」
[box03 title=”第70話「ペンライトの光の中で」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]
僕は上手のスロープを上り2階席の高さがある花道へ向かった。
リハーサルで腕時計を落とした場所だ。
踊りながらセンターステージを見ると歌っているマッチが小さく見えた。
小気味良い「ハイティーンブギ」のイントロのロングヴァージョンが流れている。
そしてマッチが歌詞を歌い始めた。
客席からも合唱が聞こえる。
後ろを振り向くと1メートル先に2階席のお客さんがいる。
全員総立ちで手を振ったり、団扇を振り回したり、ペンライトをかざしたり、拍手をしていた。
サビの箇所だけ振付がある。
その振りを踊る。
「ハイティーンブギ! 未来を俺にくれ!」
口ずさみながら踊った。
その場所から武道館のアリーナ正面スタンドの2階、3階席を見た。
時折ステージの照明が漏れるが真っ暗な客席にペンライトの光がうねりながら輝いていた。
それはまるで真っ暗な洞窟の中に蛍の群れを見るような光景だった。
1万人が総立ちで発するエネルギーと歓声は鳥肌が立つ程のパワーに満ち溢れている。
1万人が振り回すペンライトの光の渦は、闇の中に生息する得体の知れない巨大な生物のような迫力で迫って来る。
その渦中のステージ上で踊っていると風車の龍に立ち向かうドンキホーテのような気持ちになる。
体中からアドレナリンが出ているのを感じた。
初めてDISCOに行った時の千倍以上の楽しさであり興奮だった。
「何て気持ちいいんだ」
心の中で呟いた。
踊りながらトランス状態になる。
ランニングハイと言う言葉があるがこの場合ダンシングハイとでも言うのだろうか。
身体は疲れているが、心はやる気に満ちている。
「今、僕は、生きている!」
そんな気持ちになった。
大きな闇の中、ステージの上で大歓声と音楽とペンライトの光の中でひたすらステップを踏んでいた。
スポットライトが迫ってきた。
マッチがスロープを上がり花道を駆けて来る。
そして僕の目の前を走って駆け抜けて行った。
それに連れて歓声が追いかけて行く。
「有り難う!」
とかすれた声で何度も何度も絶叫している。
花道の突き当たりまで行った。
「みんなありがとう!」
と叫んで手を振ると、身を翻してまた来た道を戻りはじめた。
僕の前を通過する。
同じ年の彼がたった1人でこの武道館を満杯にしたのだ。
「なんて、凄いんだ・・」
見送りながら偉大さを感じた。
スロープをかけ降りるとスクールメイツの間を縫うようにセンターステージを突っ切り今度は反対側のスロープを駆けて上がった。
つい先ほどまでココにいたのが嘘のような速さで反対側のステージ上で又絶叫している。
汗をかいて踊っているのに身体中に鳥肌が立つ。
感動していた。
「このまま時間が止まれば良いのに!」
この感動と興奮をずっと味わっていたかった。
しかしその願いは叶うこと無く終演に差し掛かっていた。
もう、移動する時間になってしまった。
後ろ髪を引かれながらステージのスロープを駆け降りて行く。
その後ろでは1万人のペンライトの光が輝いていた。
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