第102話「半年ぶりのレッスンとジャニーさんとの再会」
[box03 title=”第102話「半年ぶりのレッスンとジャニーさんとの再会」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]
門前に立つ警備員。
プレハブ小屋のような3階建ての稽古場
錆びれた非常階段。
何もかもが懐かしかった。
6ヶ月ぶりにテレビ朝日にある第2リハーサル室の重いドアを開ける。
腹に力を込めて声を出した。
「おはようございます!」
と言って中に入る。
中にいたジャニーズジュニア、そしてボビーさんと目が合った。
「おおー武口君! 久しぶりだなー!」
ボビーさんが少し驚いたように口にした。
するとジャニーズジュニアのメンバーの中からも
「おおー!」
「久しぶり!」
「お久しぶりです!」
と声が上がった。
「お久しぶりです!」
と僕はボビーさんに挨拶をした。
「だいぶスッキリしてるねー!」
と頭を指さしてボビーさんが笑った。
「これでもだいぶ伸びてきたんですけれど、、」
と言って僕は苦笑いをした。
まだスポーツ刈り程度しか伸びていない。
ボビーさんの先には懐かしい顔触れがいた。
鈴木君、小暮君、正木君、、柳沢君、平本君、牧村君、田中君、前田君、内海兄貴、江端兄弟、一緒に踊ったメンバー達だ。
そこに混じって知らないジュニアのメンバーも10人以上はいた。
僕は軽く会釈してレッスン着に着替える為に更衣室に向かった。
着替えていると声を掛けられた。
「テレビ見てましたよー!」
と人懐こい笑顔で話しかけて来たのが守屋二郎君だった。
「感動的でいい話だったのに、終わっちゃたんですね。」
「オサラバ坂」の感想から話し始めた。
「今度、撮影の現場の話とか聞かせて下さいよ!」
と、笑顔で話しかけてきた。
悪い気はしない。
それまでは、そんなに話しをした事は無かったが、これをきっかけに良く話すようになった。
ドラマの現場についての話しやレッスンに通うルートの話し、他愛のない話しだが親近感が沸いた。
その日は一緒に帰る約束をした。
続々とジャニーズジュニアのメンバーたちが更衣室に入ってきた。
着替え終わり更衣室を出ると若いメンバーが何人も増えていた。
6ヶ月と言う月日が流れたのだと感じた。
僕は気を引き締めて新たな気持ちでレッスンを受けようと思っていた。
少年隊ジュニアの大沢樹生君、中村成幸君、宇治正高君、内海光司君は「イーグルス」として3月にレコードデビューをしていた。
ロサンゼルスオリンピックの『イーグルサム』から名前をもじって「イーグルス」と名付けられたのだ。
因みにイーグルスとして一緒にデビューした石川君は学業に専念するためにデビュー直後に脱退し、引退していた。
三好君にしろ、イーグルスの4人のメンバーにしろ先を超されたがまだ終わった訳じゃない。
「まだまだこれから頑張って追い付いてやる!」
と思っていた。
「おはようございます!」
と一際大きな声が上がったのでドアの方を見るとジャニーさんだった。
半年ぶりに会うジャニーさんは、それまでと変わらない雰囲気だった。
ふと目が合う。
「おはようございます、ご無沙汰していました。」
僕は立ち上がって挨拶をした。
すると若干笑顔になった。
「ユー! 残念だったねー、番組打ちきりになっちゃったんだってねー!」
と言いながら近づいてきた。
「はい。残念ながら、打ちきりになっちゃいました!」
と僕はつとめて明るく言った。
打ちきりになったのは僕のせいでは無いし、暗くなっても仕方ない。
「一つ良い経験をさせて貰ったとポジティブに考えよう」
と思っていた。
しかし僕が言ったのかジャニーさんが言ったのか定かでは無いが、後から聞いた話によると僕には「番組打ちきり隊」と言う有り難く無いネーミングがついていたらしい。
「また、レッスンして頑張ってよ!」
と言った後、思い出したように
「そうそう、ユーたち、今度シブがき隊の新番組が始まるから、オーディションに行って!」
とジュニア全員に向かって言った。
「もちろんユーもね!」
と目を見て言われた。
「はい!」
僕は眼光鋭いジャニーさんの目を見て答えた。
6ヶ月ぶりのダンスレッスンは結構体にこたえた。
レベルも上がっている気がした。
へとへとになったレッスンの帰り。
「渋谷までバスで一緒に帰りましょうよ!」
と、守屋君が駆け寄ってきた。
一緒にバスに乗り渋谷へ向かう。
小腹が空いていたので、センター街のファーストフードの店に入った。
当時のセンター街はファーストフード店のオンパレードで誰と行っても騒がれる事が無い。
売れていないジャニーズジュニアがいても誰にも気づかれない。
二人には好都合でその後はセンター街のファーストフードに行くのが日課になった。
その日はロッテリアでハンバーガーを頬張りながらあれこれ話した。
今のジャニーズジュニアでの置かれている立場やこれからの事。
今のジュニアの現状を僕も知りたかった。
ジャニーズジュニアの中では、トシちゃんのバックダンサーとして「ジャPAニーズ」の代りに、鈴木君、田中寛規(ひろき)君、内海兄貴、前田君が「ジャPAニーズジュニア」として、コンサートがあれば出演しているが、他のジュニアは今一つ仕事が無い状態らしい。
守屋君もダンスだけでは「先が見えない!」と悩んでいた。
守屋君はそれほどダンスが得意ではない。
そしてジャニーさんとも、しょっちゅう連絡をとっている訳ではないようだった。
守屋君もドラマに出演して、もう少し自分の立場を上げたいと考えているようだった。
僕がドラマに出演した経験談を話すと、楽しそうにそして真剣に聞いてくれていた。
可愛い後輩ができた。
みんなが「ジャニーズジュニアから一歩抜け出したい!」と考えていた。
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