Johnny's

第16話「決断」

たけJI

[box03 title=”第16話「 決断 」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]

夜になり彼女に電話をしてみる。

2回電話を鳴らしてすぐに切る。

再び同じダイアルをかけ直す。

これが、僕からの電話の合図だった。

昔ながらの黒電話で「リダイアル」なんて機能は持ち合わせていない。

2回鳴らして切ると次のコールの2回目には彼女が出る。

「もしもし! 」

案の定、彼女が出た。

いつものように明るく、弾むような、それでいてちょっとハスキーな声だ。

「あのさぁ、ちょっと話しがあって・・」

「何? 人生相談? 」

「うーん、みたいなものかな?」

「どうしたの? 」

「今日さぁ、ジャニーズ事務所から郵便物が届いて、中を見たらオーディションのお知らせって言う紙が入っていたんだ。」

「・・それで? 」

「ヨッちゃんバンドのメンバー募集らしいんだけど、受けようか、どうしようか迷っている。」

実際にこの時はまだ行くかどうか決めかねていた。

「あなたは、どうしたいの? 」

と聞いてきた。

「駄目もとで、受けてみようかなと思ってる。」

「じゃあ、答えは出てるじゃん。」

と言って笑い声になった。

「そうだよね!」

「受かろうと受かるまいと、やるだけやれば、後悔しないでしょ。」

と、優しい声が受話器の向こう側から聞こえた。

彼女の言う通りだった。

「もしも受かって、ジャニーズに入ってデビューする事になったらどうする? 」

と尋ねてみる。

「そん時はそん時よ! そんな事で私を振ったり、別れたりしないでしょう? 」

「もちろん! 」

「なんか言わされている感じ満載なんだけど・・・無理して言ってない? 」

と言いながら笑った。

「とにかく頑張ってみるよ! ありがとう!! 」

そう言って電話を切った。

あれこれ考えても始まらない。

例え受かろうが落ちようが、やらなければ始まらない。

オーディションに行く事に決めた。

これが全ての始まりである。

子供の頃にテレビで見て憧れたフォーリーブスの『歌え! ヤンヤン!! 』を思い出す。

フォーリーブス、郷ひろみ、JJS、ジャニーズジュニア、が所属していたジャニーズ事務所のオーディション。

最近では田原俊彦、近藤真彦、野村義男、シブがき隊と男性アイドルの登竜門である。

たった「1通の手紙」から僕の人生は大きく変わって行くのだった。

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