第59話「歌謡祭・すれ違った大物女性歌手」
[box03 title=”第59話「 歌謡祭・すれ違った大物女性歌手」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]
その日僕は、地下鉄を乗り継ぎ「九段下」の駅を目指していた。
駅のホームに着くとエスカレーターに乗り、改札へ出る。
改札を出た所で数人のジャニーズジュニアの面々が待っていた。
僕も合流する。
どちらかと言うと、あまり大勢で歩くのは好きじゃないが、この時ばかりは仕方ない。
僕の後、5分過ぎた頃に2人ジャニーズジュニアのメンツが加わり歩き始めた。
田安門方面を目指し階段を昇る。
地上に出る。
外はもう日が沈みかけている。
坂道を上り、左側にある一番初めの橋を渡ると大きな門が悠然とそびえ立っていた。
田安門である。
江戸時代にタイムスリップしたかのような、大きな石垣と二つの門が、この場所は特別な場所なんだと思わせる。
門をくぐり抜けると眼前に「日本武道館」がどっしりと構えて佇んでいた。
てっぺんには大きな金色の玉ねぎが輝いている。
その武道館の「関係者入り口」と書かれた場所にジュニアのメンバーと入っていく。
この頃からテレビ局や会場に行く時には何人かで待ち合わせて行く事が多くなった。
関係者出入り口を通過するのに1人だと色々聞かれたり余分な時間を取られる事が多い。
しかし5~6人メンバー皆で挨拶をする。
「おはようございます! ジャニーズジュニアでーす!」
そう言えば殆どフリーパスで入れるのだ。
もっとも、派手な原色系の服を着て集団で歩いている男の子はジャニーズジュニアぐらいしかいない時代だった。
一度も怪しまれたり、テレビ局やコンサート会場に入れない事は無かった。
武道館の中に入ると既に歌謡祭の準備は始まっていた。
張り詰めた空気の中に、怒号が飛び交いさながら戦争のような慌ただしさ、忙しさだった。
円形の大きな会場にステージが組まれている。
照明があちらこちらにセッティングされチェックが行われていた。
会場内に大きな声が響き渡った。
「あー、あー、ワン、ツー、ワンツー、チェック、チェック!」
音響のスタッフと思わしき人ががマイクを持って、ステージ上でマイクテストを行っている。
そのステージの端々には大工さんのような格好をした人が、トンカチで釘を打っている。
大道具のスタッフさんだ。
その合間を縫うように、台本をジーンズの尻のポケットに突っ込んだ人が走り回っている。
アシスタント・ディレクターだ。
数人が右往左往しては、指示をもらい走り回ってた。
ステージの前にはクレーンがテレビカメラマンを乗せて、遊園地の乗り物のように動いてる。
怒号が飛び交い目まぐるしい忙しさと張りつめた空気が漂っていた。
これから何かが始まる独特のこの雰囲気が好きだ。
ワクワクしてくる。
僕らは教えられた控え室を探して歩いた。
楽屋らしきものが立ち並ぶロビーのようなところに出た。
すると目の前から燦然と輝くオーラを放つ黒いドレスの衣装を来た女性が歩いて来た。
「あっ!」
そう言って全員が固唾を飲んだ。
ジャニーズジュニア全員が気が付いた。
「松田聖子だ!」
ジュニアの誰かが小さな声で呟いた。
テレビで見る印象そのままに、いや、それ以上に綺麗、可憐でそして可愛かった。
すれ違う。
慌てて通路の端に寄る。
「おはようございます!」
と挨拶をした。
すると、クスッと笑った。
「おはようございます! よろしくお願いします!」
と挨拶をしてくれた。
大スターと至近距離で会った上に挨拶までしてくれた。
すれ違ったあとも、茫然とすれ違った松田聖子を眺めていた。
その感激と興奮の覚めぬまま、改めて凄い場所に来たんだと思った。
そして、僕たちは「ジャニーズジュニア」と言う芸能人の端くれなんだと改めて思った。
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