Johnny's

第3話「公開録画」

たけJI

[box03 title=”第3話「公開録画」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]

ジャニーズファンの情報収集能力や行動力と言うのは実に凄い。

二つ年上の姉もそうだった。

テレビで見た「公開放送のお知らせ」にいつの間にか応募して、しっかり当選していたのだ。

「当選のお知らせ」が来た時には舞い上がるように喜んだ。

子供心ながらに「テレビの中の世界」に触れるのはワクワクするものだ。

芸能人に会えると言うのは勿論の事、未知の世界への憧れがあった。

中野サンプラザと言う場所に、母、姉、そして僕の3人で行く事になった。

その日、学校から帰宅すると片道約2時間ほどかけてバスと電車を乗り継ぎ中野サンプラザに向かった。

記憶が正しければ当時はまだバスの子供料金は15円の時代である。

「中野駅」に着き、改札を出ると、目に飛び込んで来たのは、そびえ立つ新築のビルディングと、その周りを囲む沢山の女性の行列だった。

「えっー! これに並ぶのー!」

と僕は駄々をこねた。

行列に並ぶと言う事をこの時初めて経験した。

何時間並んで待ったのかは解らないが、やっとの事でホールの中に入り、後ろから数えたほうが早い通路側の席に座れた。

通路の反対側の後ろにはテレビカメラがあった。

生まれて初めて見るテレビカメラにワクワクした。

カメラマンが練習をしていて、赤いランプが点いたり消えたりしている。

そんな様子を眺めていたら大きな声を出しながら係員が降りてきた。

「番組が始まりますとこの通路をフォーリーブスが通りますが、絶対に立ち上がったり、手を出したりしないで下さい! 見かけた場合は直ちに退場していただきます!! 」

そう言いながらステージの方へ同じ事を繰り返し言いながら降りて行った。

通路の隣の席は姉が座っている。

「フォーリーブスの誰が隣を通るの?」 と目をキラキラさせながら姉と母と会話で盛り上がった。

やがてブザーが鳴り場内が暗くなる。

本番が始ろうとしているのだ。

「ワクワク」「ドキドキ」しながら「その時」を待った。

ザワザワした観衆の声が一瞬「水を打ったように」静かになった。

『歌え! ヤンヤン! 』

と「フォーリーブス」の声が聞こえる。

すると誰もいないステージは眩しく明るくなり、聞き覚えのある音楽が鳴り響いた。

客席も目映いばかりに明るい。

「キャー」と言う大歓声が後ろの方から聞こえた。

すると同時に隣の通路を白い衣装を着た2人が駆け降りて行った。

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