第4話「歌え!ヤンヤン」
[box03 title=”第4話「歌え!ヤンヤン」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]
「あっ! 」
と声を出した時には、もう既に下の方に駈け降りていた。
疾風のごとく通り過ぎて行った4人を追い掛けるように、黄色い歓声が追いかけていく。
ドップラー現象のようだ。
ほんの一瞬の出来事で、それが「ター坊こと青山孝」と「マー坊ことおりも政夫」だと気づいた時には、既にステージに駆け上がる所だった。
4人はステージに並べられたスタンドマイクの前に立ち歌い始めた。
「走るのが早い! 凄いなあー」と僕は思った。
同時にテレビではいつも画面一杯にタイトルがテロップで写し出されるのに「なんで何にも出ないのだろう? 」と当たり前の事を不思議に思っていた。
きらびやかなステージの上で芸能人が歌って踊っている。
大きな音の演奏に負けないくらい、客席からは黄色い歓声が送られていた。
オープニングの曲が終わり、ゲストが次から次へと登場し、番組が進行して行く。
「ゲストの歌」が終わりフォーリーブスがコメントを言った後「宛先はこちらまで!」と言って指で下を差した。
場内は大爆笑に包まれた。
もちろん何も無いが、テレビを見ると、その場面では指差した下に、テロップで郵便番号や、宛先が写し出されていた。
そしていよいよフォーリーブスの歌が始まった。
4人が踊り出す。
息の合った踊りは見ていると小気味良く、ついつい座席から前のめりになって見いってしまう。
曲に合わせて照明が変わる。
そして「コーちゃん」が1人だけ舞台の左側に小走りに駈けると歓声が上がった。
ステージの中央に向かって走ったかと思うと両手を振り上げて前に着いた。
勢いのついた身体は反転して後ろ向きになりそこから「バック転」を1回、2回、3回と決めた後、空中に浮いて回った!
「バック宙」である。
「すげー! 格好いいー!! 」
と叫んでいた。
収録の1時間は、本当に「あっ! 」と言う間に過ぎて行った。
きらびやかなステージ、大歓声、大観衆に見られるアイドルたち。
ハナタレ小僧の自分とは無縁の世界。
芸能人が自分の1メートル先を通り過ぎて行っただけで、自慢してるような「どこにでもいるようなハナタレ小僧」が、10年後にこの「フォーリーブスの曲」を踊る事になるとは、この頃は夢にも思っていなかった。
懐かしい「フォーリーブス」さんの歌声は↓コチラから
懐かしい「ジャニーズジュニアスペシャル」さんの歌声は↓コチラから