Johnny's

第74話「バースデープレゼント」

たけJI

[box03 title=”第74話「バースデープレゼント」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]


「誕生日おめでとう!」

玄関を開けると、彼女は制服姿のままケーキを持って立っていた。

冬休みが明けた翌日が僕の誕生日だった。

「はい! 誕生日プレゼント!」

手渡されたプレゼントはケーキと紙袋だった。

「ありがとう!」

受け取って紙袋を開けると手作りのキルティングで作ったパソコンのカバーが入っていた。

そう言えば

「パソコンを買ったのはいいけど、埃がたまってしょうがない!」

そう言った覚えがある。

市販ではカバーは売っていない。

それを覚えていて手作りで作ってくれたのだ。

「ありがとう!」

と彼女に言った。

「物を欲しがらないから、考えるのにひと苦労だよ!」

と、言って笑った。

「ケーキ食べようよ!」

そう言うと玄関を上がり自宅のキッチンに入って来た。

両親は共働きで夜にならなければ帰ってこない。

いつもいる祖母は医者に行っている。

姉貴は化粧品会社の美容部員として働き、帰宅するのは夜遅い。

そう、僕の家に二人きりなのである。

彼女がイチゴのデコレーションケーキを取り出し、上手に切って行く。

誕生日にケーキなんて何年ぶりだろうか?

小学生以降は買って貰った記憶がない。

ネームプレートには僕の名前と誕生日おめでとう!の文字が添えてあった。

嬉しいものだ。

イチゴのショートケーキにしたのは彼女の大好物だからでもあろう。

ショートケーキ風にカットして皿に二つ乗せる。

「残りは家族で分けて食べてね!」

そう言って箱に戻し、皿を二つ持って2階の僕の部屋に向かった。

四畳半の狭い部屋に二人向き合って座る。

「いっただきまーす!」

と言って一口サイズにヒメフォークで切ったケーキを口に運んだ。

一口頬張ると一瞬目を見開き、かと思うとうっとりするような顔で「おいしぃー!」と笑顔で言った。

コロコロ変わる表情に見とれていると「食べないの?」と聞いて来た。

「食べるよ! 頂きます!」

そう言ってケーキを口に運んだ。

イチゴの酸っぱさと生クリームの甘さが口一杯に広がった。

「おいしい?」と上目遣いに聞いてくる。

「うん、うまい!」

と言うともう半分を口に放り込んだ。

嬉しそうにしながら彼女もケーキを丁寧にフォークで切って食べている。

彼女は皿にイチゴをひとつ残している。

さしずめ好きなものは最後に食べるつもりなのであろう。

僕は残ったケーキを一口で食べた。

彼女も食べ終わり最後に皿の上にイチゴだけが残った。

その視線に気が付いたのか

「ふふふ、イチゴ! 欲しい?」

と聞いてきた。

「いいよ! 食べろよ!」

と言うと、フォークに突き刺したイチゴを半分、口にくわえて四つん這いになって僕の方に寄ってきた。

「まぁひぉつおうええんお!」

口にくわえたままモゴモゴと話している。

寄せてきた顔の口元にあるイチゴを半分噛みきると、唇が触れあった。

そして、そのまま彼女が「わからんちん!」と唇をつけたまま言った。

横に倒れこみ唇を離した。

「もうひとつのプレゼントだょ。」

と彼女が言った。

「何?」

と聞く。

「ワ、タ、シ、。」

そう言って今度は彼女が唇を寄せてきた。

ゆっくりとそして優しく唇を触れた。

「包んでないけど、プレゼントだょ。いらない?」

じっと見つめている。

「いる!」

そう言って、きつく抱きしめた。

「一番欲しかったプレゼントかも知れない。」

「そっか! じゃあ、あ、げ、る!」

そう言って重ね合わせた唇はイチゴの味がした。

二人重なり合う。

そして心と身体が結ばれた。

僕の部屋で二人横に並んで互いに身を寄せ合いその鼓動を感じている。

肌のぬくもりが心地良い。

二人でいれば何でも乗り越えられる。

そう思えてくる。

人が相手を求め欲しがるのは身体ではなく心と心の融合なのかも知れない。

そんな事を思っていた。

「何考えてるの?」

と彼女が呟いた。

「何にも考えてないよ」

「ウソ!何か考えてる!」

「ずっとこのまんまだったらいいのになぁって思ってた!」

「私も、このまんまがいい!」

そう言って僕の胸に顔を乗せてきた。

裸のまま絡ませた足の内腿が少し汗ばんでいる。

彼女の柔らかい乳房が脇腹に当たっている。

セミロングの髪が胸元を刺激して少しくすぐったい。

「心臓の音が聞こえる」

そう言って僕の胸に耳をあてた。

「ドクン、ドクンって、生きているんだね。」

「そりゃ死んでなきゃ動いているでしょう?」

「こうして、明の心臓の音を聞いていると、何だかとっても安心するの。ずうっとこのままだったらいいのに」

そう言って僕の胸の上に突っ伏して目を閉じた。

安らかな寝息が聞こえてきた。

束の間の最上の幸せを感じた瞬間だった。

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