第10話「春の夜の夢」
[box03 title=”第10 話「春の夜の夢」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]
「それでは準備が出来たようです! OK! トム&ミッキー! カモン! イッツ ショータイム! 」
と叫ぶとDJブースの左右にある、高さ50センチ程の円形の台に、黒いパンツにベスト,白い手袋と言う衣装を着た男性ダンサーが飛び乗った。
一瞬の静寂の後テンポの良い、ファンキーな曲が大音量で流れ始める。
キレのあるステップを踏み激しく踊ると両腕を交差して、片足を上げて片腕を指差してポーズして止まった。
動きの速さと迫力にフロアーに集まった人から感嘆の声が漏れる。
その刹那キックをして両手を回しながら一瞬にして、ハードル飛びのような格好になってダウンした。
すると操り人形のように起き上がり両足を開脚してジャンプした。
この当時流行っていたファンキーと言うダンスである。
田原俊彦が踊っているダンスに似ているが、さらに複雑で、さらに格好良く、踊りこなしていた。
曲が変わった。
すると、今度は音楽に合わせて身体を止める、ロボットダンスを踊り始めた。
まるで機械仕掛けの人形のような動きに感心しながら見いっていた。
映画『スターウォーズ』に登場した『C3PO』のようなカクカクとした動きに見とれてしまう。
「凄い! 流石にプロダンサーと言われるだけの事はある」
そう思いながら見つめていた。
また曲が変わった。
今度は激しい曲だった。
再びファンキーな曲でトミーと呼ばれているダンサーが踊り、ミッキーと呼ばれているダンサーを指差して止まった。
すると今度はミッキーと呼ばれているダンサーが激しく踊って、トミーを指差して止まった。
交互にお互いが持っている「技」を出しあって競いあっているようだ。
見ている客は、テニスの試合でも見ているように、右、左と交互に踊る姿を追いかけている。
「ハッ! 」
と言う掛け声で二人が同じ振り付けを同じタイミングで踊り始めた。
ピタリと振り付けが揃っているので見ていても気持ちがいい。
そして、片足でクルクルと3回回って、両足をピタッと開いて止まった。
ピルエットでと言う技である。
大歓声の中でショータイムは終わった。
すっかり魅せられてしまった。
「僕もあんな風に踊りたい! プロダンサーになりたい! 」と思った。
そんな夢が現実になるとは思ってもいなかった16歳の春の夜だった。
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