第13話「二子玉川の恋人」
[box03 title=”第13話「二子玉川の恋人」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]
アルバイト先で出会った、赤いサンダルの女の子と一緒に帰る事になった。
自由が丘の駅のホームで少し立ち話をしていると電車が滑り込んできた。
その電車に乗り込み、閉まったドアにもたれ掛かりながら話をする。
ちょっと緊張感がある。
彼女は同じ高校2年生で、同じ早生まれ、私立の女子高に通っていて、友達と夏休みだけアルバイトをしているとの事だった。
「何処に住んでるの? 」と彼女に聞いた。
「二子玉川(ニコタマ)」
と言うと同時に、車内アナウンスで「次は二子玉川です!」と流れた。
タイミングの良さに二人で笑った。
駅に着いてしまったので、2学期が始まったら、一緒に通学をする約束をして彼女は電車を降りた。
ドアが閉まり、電車が動き出してもその場でずっと手を振っている。
その姿がとても可愛くて印象的だった。
2学期の朝をむかえ、僕は原付きバイクに跨がり田園都市線の梶ケ谷駅に向かった。
今までは7時過ぎの遅刻ギリギリに起きていた人間が、朝6時過ぎには家を出たのだから、親も何事かと思ったに違いない。
気分が高揚しているのは暑さのせいだけではない。
満員電車も苦にならなかったが、1駅1駅がとても長く感じた。
「早く彼女に会いたい! 」
そんな思いだけだった。
二子玉川駅に着く。
駅のホームの一番後ろが待ち合わせの場所だ。
電車を降りて右側を見るとそこには、そよ風に髪をなびかせた制服姿の彼女がいた。
オーバースカートに白いシャツと赤いネクタイ姿の彼女がこちらを見ていた。
「おはよー! 」
初めて見る彼女の制服姿は初々(ういうい)しく、あまりの可憐さに胸がときめいた。
「お、おはよう。」
その可愛さにドキッとして返事が遅れた。
「何をじっと見てるの? 何か変? 制服似合わないかな? 」
そう言いながら髪をかきあげた。
「そんな事ないよ! とっても合ってる!! 」
「ありがとう!」
「私服の時より少し大人っぽく見えるね!」
と言うと「えー! じゃあ私服はガキっぽかったわけ? 」と言って笑った。
笑顔が眩しかった。
そのままホームで、家族や学校の話、趣味の話をしていたら時間になってしまった。
二人で急いで電車に乗り込み自由が丘まで一緒に通学をした。
別れ際に、夕方の待ち合わせを約束して電車を降りた。
僕にとって初めてできた「恋人」だった。
[box01 title=”今も昔も変わらない二子玉川ホームから見える景観”] [/box01]
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