第115話「少年隊ビデオ・急げ若者の撮影」
[box03 title=”第115話「少年隊ビデオ・急げ若者の撮影」”]
あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]
「少年隊ビデオデビュー」に向けての練習が始まった。
その中の1曲「急げ! 若者」の振り付けである。
表参道のモリ・ハナエ ビルの裏にある東京音楽学院で、スクールメイツと合同でのリハーサルだった。
振り付けをするのは「西条満」先生と「ボビー」さんである。
今回は、ロケで野外での撮影だと説明を受けた。
映画「ウエストサイドストーリー」風にアレンジすると言っている。
「急げ! 若者」は「フォーリーブス」の曲の中でも大好きな曲だった。
自然とテンションが上がる。
振り付けに先立ち「組分け」をされた。
鈴木君や田中君など「俊ちゃん」のバックをしているメンバーが「ニッキ組」である。
イーグルスの宇治君、大沢君、中村君、内海君の4人が「かっちゃん組」を担当する。
そして僕や河村君、加藤君など年配組が「ヒガシ組」だった。
西条先生が内容を説明してくれた。
ニッキ組とヒガシ組が抗争をしている。
激しい争いが起こり取っ組み合いの喧嘩になった時に仲裁に入るのが、かっちゃん組である。
そして全員が一体となり、揃って踊り出す。
と言うのが全体の構想であった。
そのような説明を西条先生が話し終わった時に、かっちゃんが冗談で、ニッキとヒガシの間に後ろ向きで割って入り「喧嘩はやめろよ! 」と言った。
かっちゃんと西条先生の目が合う。
すると「おう! それいいね! それ使おう! 」と笑いながら言った。
冗談だと思ったが本当に採用された。
「出番が来るまで向こうで練習しといて!」
と言って笑った。
今まで少年隊と言えば、ジャニーズっぽい激しい振り付けが多かった。
だが、今回のイントロの振り付けは「ジャズダンス」に「バレエ」の要素が加わりシアターダンス風でミュージカルのようである。
ニッキ組がワンフレーズ踊ると、ヒガシ組が次のワンフレーズを踊ると言った感じで、さながらダンスバトルのようだ。
サビの部分ではニッキ組とヒガシ組が違う振り付けを同時に踊る。
そして間奏に入ると激しい取っ組み合いの喧嘩になる。
殺陣(たて)の演出のように西条先生が指導する。
ヒガシに蹴られたニッキが後ろ向きに倒れながら飛んで来る。
それを僕たちヒガシ組は受け止め、お越し上げ再びヒガシと戦わせる。
そして二人は激しい殴り合いになる。
そこまでの振り付けを済ませると西条先生が「はい、植草! 出番! 」と言った。
すると、ちょうど二人の間に「かっちゃん」が割って入り2番の歌詞のAメロを歌い出す。
余りにも「美味しい」登場の仕方と、その芝居にみんな大爆笑をする。
西条先生も笑いながら次の振り付けに入った。
後半のサビの部分はジャニーズジュニアとスクールメイツが入り乱れて、ユニゾン(同じ振り付け)を踊る。
気合いの入った熱いレッスンが夜まで続いた。
そして撮影当日。
撮影は横浜のレンガ倉庫で行われた。
最初は「2番のサビ」からラスト迄の部分を、横浜港でクレーンカメラを使って撮影した。
「ヨーイ! スタート!! 」
の掛け声の後、音楽が流れ少年隊とジャニーズジュニアとスクールメイツが一勢に踊り出した。
僕は集団の真ん中辺りで踊っている。
踊る時の視線をクレーンカメラに合わせるように言われる。
太陽の陽射しが眩しくどうしても、しかめっ面になってしまうのが気になった。
全員で踊るシーンを撮り終えると、赤レンガ倉庫に向かった。
「立ち入り禁止」の場所で人もいない。
まるで「明治、大正時代」にタイムスリップしたようで、赤レンガの建造物と空間に圧倒されながらも、ワクワクした。
その空間で1番のサビの部分と間奏の「乱闘シーン」から撮影を開始した。
ヒガシとニッキが赤レンガ倉庫の広場で出会い、互いに片腕を握り合い、引き合いながら喧嘩を始める。
二人の殴りあいのシーンを何度も、カット割りをしながら撮影をする。
緊張感が漂う。
一通りの乱闘シーンをとり終えると、今度は「かっちゃん」のシーンである。
例の美味しい登場をする「かっちゃん」だが、カメラは背中をとらえている為、背中の『KANSAI』のロゴがやたらに目立つ。
このシーンをとり終える頃には陽が沈み始めた。
イントロの撮影を始める頃には夜の帳が降りてきた。
赤レンガ倉庫に照明が入る。
闇とレンガのコントラストが想像以上に綺麗だ。
その中で少し残されたお互いに闘いに行くシーンの撮影をした。
まるで「マイケルジャクソン」の「Beat It」のワンシーンのようだ。
撮影と共に長い1日が終わった。
筆者ジャニーズジュニア時代。 左・加藤君、後ろ河村君(急げ若者、撮影日に撮影)
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