Johnny's

第19話「オーディション~ジャニーさんの質問~」

たけJI

[box03 title=”第19話「オーディション~ジャニーさんの質問 」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]


最初の10人がステージに上がった。

挨拶をして1人がステージに残り、後の9人は舞台の袖に歩いて行く。

ステージ上に残った少年はエレキギター掴み取り、ストラップを肩から掛けてチューニングをはじめた。

6弦、5弦、4弦と、音を合わせいく。

場内は水をうったような静けさが広がり緊張感に包まれている。

「こんな状況で落ち着いて堂々とチューニングするなんて度胸あるなぁ」

と思いながら固唾を飲んで僕は見ていた。

ステージのセンターにあるスタンドマイクに歩み寄る。

そして「1番です!」と番号と名前を言い「 宜しくお願いします!」と言うなりギターを演奏し始めた。

リードギターで物凄い速さで奏いていく。

滅茶苦茶上手い。

ギターソロだけでずっと聞いていられる。

「うわぁ、レベルが高い! ギターを弾くって、こう言うレベルなんだ! 」

と今更ながら己の未熟さを思い知った。

と、同時に「まともにギターを弾く事はやめよう」と思った。

今の演奏を見てしまったら僕は幼稚園のお遊戯レベルだ。

あまりにも滑稽すぎるだろう。

違う事をやろうとだけ思った。

1番の演奏が終わる。

審査員席に置いてあるマイクを通じて質問が飛ぶ。

「ユーは何年位ギターを弾いてるの? 」

「ユーは今、何処に住んでるの? 」

「ユーは毎週日曜日ならレッスンに通える?」

質問しているのはジャニーさんである。

ジャニーさんが質問する時には必ず相手に「ユー」と言う。

誰が質問したのか解りやすい。

ジャニーさんの質問は、本当にその人に興味があると言う感じが伝わってくる。

と、同時にどれだけ上手く、早く、質問に答えられるのか、タレント性を試しているような気がした。

一通り質問が終わると「次の方、お願いします!」とアナウンスが流れる。

すると舞台の袖で待機していた一人がステージへ歩いて行く。

2番目の人は、ベースを肩に掛けてセンターマイクに向かうと、先ほどの彼と同じように番号、名前、演奏する楽器、人によっては演奏する曲目を言った。

またサイドギター、リードギター、ベース、キーボード、ドラム、にそれぞれ「ミュージシャン」がスタンバイしていた。

オーディションを受ける人がドラムなら、そのポジションだけ入れ替わり演奏をするのだ。

皆それぞれがセミプロではないか? と思える程、間違える事なく演奏をこなしていく。

中にはオリジナルで作詞、作曲した歌をキーボードの弾き語りで歌った人もいた。

オーディションを見ているだけでも何人も、充分にタレントになれそうな人がいた。

レベルの高さに愕然としている間に、自分がスタンバイする順番になってしまった。

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