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第122話「少年隊ファーストコンサート・後編」

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第122話「少年隊ファーストコンサート・後編」

あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと 

「少年隊ファーストコンサート」本番20分前。

僕は衣装のセッティングをしに下手の非常口前にいた。

リハーサルが終わったばかりでまだ汗ばんでいる。

ドアを1枚隔ててお客さんのざわめきや歓声が聞こえてくる。

「本番が始まるのだ! 」

それを肌で感じた。

緞帳の降りたステージ上を歩く。

スタッフが慌ただしく動いている。

緞帳を隔てた向こう側にはすでに、何千人ものお客さんが入っているだろう。

にわかにテンションが上がってくる。

気合いを入れて楽屋に戻る。

そこにはジャニーズジュニア達がいた。

今頃になって振り付けの練習をしている者、「衣装がない! 」と慌てている者、既に疲れて放心している者、たむろして話しこんでいる者、みんなそれぞれだ。

まるで学生時代の「運動会が始まる前の教室」のような雰囲気だ。

年齢、学年、出身地、皆、それぞれ違うが、共通しているのは「ジャニーさんに選ばれたジャニーズジュニア」だと言う事だ。

そしてこれから同じ舞台に立つ仲間であり、この中から誰がアイドルとしてデビューするか解らないライバルであると言う事だ。

そんな光景の中に僕は佇んでいた。

すると開演5分前のアナウンスが流れてきた。

「さて、やるか! 」

と言って楽屋を出る。

皆、自分がスタンバイをする場所に散って行った。

「少年隊ファーストコンサート」が始まった。

音楽が流れ始める。

さっきと違うのは、何千人ものファンが見ていると言う事だ。

ドアを開けた途端に耳の鼓膜が破れる程の大歓声と、暗闇の中に光る蛍光ペンライトの美しさが目に飛び込んできた。

その中を舞台に向かって歩いた。

少年隊が現れ、スポットで照らし出されると、歓声のボルテージは最高潮に達した。

音楽が変わる。

ステージ上で踊り始めると、少年隊もジャニーズジュニア達も、リハーサルの時の何倍もの気迫やエネルギーを出して踊っている。

本番であり、人に見られ、歓声を受ければ当然ではあるが、一緒に踊っていると尚更良くわかる。

ワンフレーズ踊ると、光と音楽と歓声に満ちたステージから一気に舞台の袖に捌けて、そのまま通路に出た。

衣装を着替える。

僕もリハーサルの時とは比べものにならない量の汗をかいていた。

直ぐに着替え再びスタンバイに向かった。

全力で踊り、着替えては踊り、また着替えては踊り、充実した時間はあっと言う間に過ぎていった。

「みんな! 有り難う!! 」

ステージで手を振りながら降りる緞帳に視界を奪われた。

完全に緞帳(どんちょう)が降りる。

「お疲れ様でした! 」

と挨拶を交わし、皆楽屋へ向かう中、僕は着ている衣装をセッティングするために楽屋とは反対にある廊下に向かった。

早めにセッティングをしないと、次の開演迄あと30分しかない。

あと4回あるのだ。

セッティングを終えて楽屋に戻ると弁当が置いてあった。

既に半分ぐらいのジュニアのメンバーがパクついていた。

踊り終わった直後で、これから再び全力で踊る事を考えると食欲はない。

しかし、食べておかないと身体は持たない。

僕は配られた弁当を半分だけ食べて少し寛いだ。

暫くすると「開演5分前」のアナウンスが流れてきた。

再びオープニングに出るロビーに向かった。

2回目のコンサートが始まる。

リハーサルを入れると3回目である。

まだ余力はあった。

2回目のコンサートは無事に終わった。

3回目のコンサートの終盤になると何人かのジュニアと少年隊のかっちゃんに疲れが見えはじめた。

アンコールが終わり、緞帳が降りると明らかに元気がなくなっている。

4回目のコンサートが始まる前に、「植草ダウン」と言う噂が広まった。

噂は本当で、4回目から「かっちゃん」のダンスナンバーはカットになった。

ソロと少年隊3人が踊らないと成立しない曲以外は極力踊らずに歌に専念すると言う事だった。

4回目の準備をしていると何人かのジュニアもダンスナンバーをカットをする事になった。

ボビーさんが楽屋で全体的な指示を出した。

もはや「サバイバルゲーム」のような状態である。

「隣に人がいなかったら、間隔を詰めて踊る」と言う状態である。

ジュニアの平本君がステージから落ちると言うハプニングも起きた。

4回目のコンサートの途中で僕は「ランニングハイ」のような状態になった。

何度ここで着替えたのか、今、何回目なのか解らなくなった。

それでも着替えては舞台に行き、踊っては戻ってくる事を繰り返した。

4回目が終わると楽屋には疲れきったジュニア達がいた。

5回目のアナウンスが流れた。

「これがラストだ! 」

と、誰とも無く言うと不思議な一体感が生まれ、皆が一勢に立ち上がった。

ジュニア達のもっとも過酷なラストステージが始まった。

少年隊ファーストコンサートの5回目のステージ上にいる。

同じコンサートを1日に5回もやると、まるで酔ったような感覚になる。

ランニングハイならぬダンシングハイ、いやこの場合はコンサートハイとでも言う状態であろうか?

何千人と言う人間に見られている緊張感と、大観衆の絶叫のような大声援がハイテンションにさせる。

そんな状態で何度も同じ曲を踊り、何度も同じ衣装を着替えて、会場の中を駆けずり回って思考回路はショート寸前だった。

それでも「この1回ですべてが終わるんだ! 」と自分を奮い立たせ、ともすると疲れて座り込みたくなる気持ちをどうにかこらえていた。

ヘトヘトに疲れている筈なのに、廊下ですれ違うジュニアのメンバーは笑顔だった。

その仲間たちに刺激され、「負けてたまるか! 」と自分を鼓舞して笑って踊り続けた。

「みんな、ありがとーう!」

少年隊が5回目のコンサートを終える挨拶をする。

緞帳が降りきると少年隊、ジャニーズジュニア、バンドメンバー、スタッフが一勢に「お疲れ様でした! 」と声を出し、拍手が沸き起こった。

5回ものコンサートを終えた、満足感、充実感、と共に誰もが大きな声で言いたかった一言を言った。

「つかれたー!」

少年隊が代弁して言った時には皆が笑った。

流石に疲れ切った状態なので、急いで衣装を片付けて真っ直ぐに帰宅をした。

心の中は燃え尽きて空っぽで、頭の中は真っ白で、肉体と言う脱け殻だけが残っていた。

何度も満員電車の中で立ったまま眠りに落ちかけたが、何とか寝過ごさずに帰宅する事ができたのは、満員電車で座らずにいたおかげかも知れない。

どうやって帰って来たのか、いつ帰って来たのか良く覚えてはいない。

気が付けば、自宅の自分の部屋の布団の上で翌朝を迎えていた。

5回のコンサートをやりきったと言う満足感が満ちている。

そして、次の仕事が決まっている事が、充実感をより一層強く感じさせた。

気持ちはすでに、次の舞台の仕事に向いていた。

少年隊ファーストコンサート台本。

開演時間 1回目、10時 2回目、12時 3回目、2時 4回目、4時 5回目、6時

そりゃ、倒れるわ💦

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たけx1
別名:@moonwalker_take。 53歳、2児の父親離婚バツイチ現在独身。 50を過ぎて、未来の自分のために、今までお世話になった方々のために、ブログを通じて夢見る人生を生きていく事を発信していきたいと思います。