第42話「彼女との時間」

[box03 title=”第42話「彼女との時間」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]
夏休みが終わった。
僕の生活は、普通の高校生の日常生活に戻っていた。
朝は相変わらず6時に起きて、7時に彼女と二子玉川駅で待ち合わせて一緒に通学をした。
確実に一緒に過ごせる唯一の「彼女との時間」だった。
あの「夏休みの真夏の夜のできごと」があった、夜の話は彼女にはしなかった。
いや、「出来なかった」と言った方が正しいだろう。
説明するのも難しい。
「僕がお風呂に入っていたら、ジャニーさんが服を着たまま入ってきて身体中をマッサージされたけれど何も無かったよ!」
真実のみを伝えるならそう言うしかない。
しかし彼女にそんな事を言ったら、余計に疑念を抱くだけだろう。
質問攻めにあうのが目に見えている。
いや、ドン引きして、別れ話に発展するかもしれない。
満員電車の中の二人の時間を険悪な雰囲気にしたくない。
それにあの日の翌朝、ジャニーズジュニアの皆で稽古場に行くとその話になっていた。
稽古が始まる前にジュニアの一人が告白した。
「ウトウトしてたら、後ろからジャニーさんが抱きついてきたから咳払いしたけど全然止めないんだよね!」
と、ことさら大した事でもないように吹聴していた。
あの時聞いた咳払いは彼だったのだ。
「もう、面倒くさいからさぁ、勝手にさせといた!」
皆は笑っていたが、僕は笑えなかった。
そんな事が起きていた事実をその場所にいた事を彼女に伝えたくない。
だから何も話さない方がいいと心に決めたのだ。
「どうしたの? 怖い顔して何かあったの?」
不意をつかれ、現実に戻った。
目の前に上目遣いで見つめる彼女がいた。
満員電車で揺れる大井町線の車内の連結機側のドアに寄りかかって彼女と向かい合っていた。
「うん? 何にもないよ!」
心の中を見られたようで、少し動揺した。
「何だかどんどん離れて行っちゃう気がするよ!」
と彼女が言った。
背の低い彼女は僕と頭一つ分違い、サラリーマンの間に埋もれている。
僕は腰に右手を回し自分の方へ引き寄せた。
「離れてないよ! ここにいるじゃん!」
と上目遣いのクリクリした目を見て言った。
「そうじゃなくて、頭の中はダンスと仕事の事で一杯なんでしょ? 私の事何てちーっとも考えてくれてない!」
拗ねたように口をとがらせた。
そんな仕草も可愛かった。
「そんな事ないよ!」
と言っては見たものの、後に言葉が続かない。
代わりに腕に力を込め右腕で抱きしめた。
左手に持ったペチャンコの学生鞄が邪魔だった。
上を向いて見つめる彼女の額に唇を触れた。
シャンプーだろうか?
いい香りがした。
「また、あそこに行きたいな!」
「何処?」
「解らない?」
「山下公園?」
「ピンポン!」
と目を輝かせて言った。
1年前に付き合い始めて、3週間後に山下公園のベンチでファーストキスをした思い出の場所だった。
「じゃあ、今日の夕方4時に田園調布で待ち合わせ! 」
「うん!」
と彼女は満面の笑顔でうなずいた。
その笑顔をいつまでも見ていたかった。
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