第68話「マッチを乗せたお神輿」
[box03 title=”第68話「マッチを乗せたお神輿」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]
開演5分前。
客席から見えないように僕らジャニーズジュニアはステージの裏に隠れた。
ザワザワとしたざわめきが直ぐ近くで聞こえている。
ほんの数時十分前までは誰もいなかった客席が若い女性ファンでビッシリと埋まっていた。
あちらこちらで悲鳴とも取れる歓声が上がる。
1万人近いファンで埋まっているのだ。
そのざわめきは実に凄いものだ。
ハチマキや、ハッピ、ウチワやペンライトを持ったファンの姿がチラチラと見えた。
高ぶった緊張感と興奮がぶつかり合う。
その刹那、武道館の照明がオチて真っ暗になった!
大爆音!
いや、耳をつんざくような1万人の大歓声だった。
音楽と照明が武道館の中に溢れ、テンションは一気に頂点に上がった。
そして武道館の天井が吹き飛ぶのではないかと言うほどの、「ギャー!」と言う大歓声が巻き起こる。
ステージ上にマッチが姿を現したのだ。
音楽の音が歓声でかき消されそうになる。
そのタイミングで大興奮と大歓声のステージに飛び出した。
センターステージの一番前に突き出した場所でマッチが歌っているのが目に入った。
その後ろので少年隊も踊っている。
そこから少し離れた場所に走りこんで、少年隊ジュニアの後ろで踊り始めた。
興奮しながらも冷静に自分の踊っている位置を確かめる。
ステージ上に貼られたビニールテープの「バビリ」と呼ばれているの目標を確認した。
場所は合っている。
リハーサル通りの場所で、振り付けられた通りに踊った。
最上階から照らし出されたスポットライトの中に近藤真彦が見える。
その正面は1万人の総立ちのファンが降っているペンライトが揺れている。
「すげぇ・・」
踊りながら鳥肌が立つのが解った。
「僕は今、日本武道館の近藤真彦のコンサートで、1万人の前でステージ上で踊っているんだ」
余韻に浸る間もなく、ステージを降りる時間になった。
位置を移動して少し踊ったらスロープを降りて1度楽屋に戻る。
スロープの下から楽屋の入り口迄は客席から見えるので中腰でなおかつ全力で走らなければならない。
光が漏れる舞台裏を全力で走った。
楽屋に戻る。
衣装を着替える。
今度は、一番不安な曲だ。
お神輿にマッチを乗せて舞台上を練り歩くのだ。
まだ、練習でもちゃんと成功していない。
用意した法被を着る。
頭にねじり鉢巻きを巻く。
喉が渇いたので、水分補給をしたら再びステージの近くに全力で走ってスタンバイをしに行く。
このタイミングでスタンバイしないと照明の関係で舞台裏を走っているのが見えてしまうのだ。
走り込んだ舞台袖で、息を整える。
そこで2曲待った後にステージに上がる。
「わっしょい! わっしょい!」
と言いながら舞台の入り口付近に用意されたお神輿を担ぐ。
「せーの!」
の掛け声でジュニアと共に空のお神輿を持ち上げる。
まだ、マッチが乗っていないお神輿は軽々と持ち上げられた。
「せいや! せいや!」
と、掛け声をかけながら、お神輿を移動する。
ステージ上のセンター前に行き一旦しゃがみこんだ。
歌を歌っていたマッチがやってくる。
間奏の合間にお神輿に乗り込んだ。
肩にずっしりと重さが加わる。
「せーの!」
の掛け声で一気に持ち上げた。
しかしその時、少しタイミングがズレてお神輿が傾いた。
僕たちが持ち上げた右側が、左側のジュニアより早く、高く上がってしまった。
「下げろ!」
誰ともなく、叫んだ。
すぐにお神輿を少し下げて水平を保った。
再び左側のジュニアと目を合わせて持ち上げる。
ヒヤッとしたが、マッチの落下と言う最悪の事態は免れた。
マッチは何事もなかったように、歌を歌っている。
流石だ。
ステージ上をお神輿を担ぎながら練り歩く。
1万人の前でお神輿を担ぐのも悪くない。
一周した所で神輿を降ろした。
マッチがお神輿を飛び降りた。
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