第71話「レコード大賞のレッスン」
[box03 title=”第71話「レコード大賞のレッスン」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]
2日間に渡るマッチの武道館コンサートが終わった。
翌日、僕は放心状態だった。
燃え尽きた感じだ。
そして思った。
「武道館でコンサートができるようになりたい!」
「もう一度武道館で踊りたい!」
同じ年のマッチが自分の前を駆け抜けて行った時に感じた、偉大さと悔しさ。
早く「ジュニア」と呼ばれるグループから脱して、その上へ行きたかった。
自室の天井を見ながらそんな気持ちでいた。
その時、電話が鳴った。
慌てて、1階へ降りて受話器を取る。
「はい! 武口です!」
「もしもし! ジャニーですけど」
ジャニーさんからの電話で現実に戻った。
「ユーは明日大丈夫ね?」
「はい! 大丈夫です!」
と伝えると、大晦日に行われる日本レコード大賞のスケジュールを伝えられた。
翌日。
リハーサルでジャニーズジュニアの選抜メンバーが召集された。
レコード大賞の新人賞にノミネートされたシブがき隊のバックで踊るのだ。
これまで何度も踊ってきたが、番組や会場によって振り付けやフォーメーションが変わる。
今回も振り付けが大幅に変わるようだ。
振り付けが始まる前にボビーさんから注意事項が発表された。
「今回はもしかしたら出ない可能性もあるから!」
と強調して言われた。
今回レコード大賞新人賞にノミネートされたのは、松本伊代、早見優、掘ちえみ、石川秀美、シブがき隊の5組である。(敬省略)
この5組が持ち歌を歌って、もしもシブがき隊が新人賞を受賞したら、仲間が駆け付けたと言う設定の元で踊ると言う事だった。
つまり新人賞を取らなかったら出番はないと言う事である。
今まではノミネートされた歌手が楽曲を披露する時にバックで踊ったが、今回はその時は出番は無く新人賞を取らなければ踊れないと言う事だ。
しかしそこは天下のジャニーズ事務所である。
全員が新人賞を取るであろうと漠然と思っていた。
あくまでも勝手な推測であるが、取れないのにジュニアを集めてレッスンなどするわけはない。
ジャニーさんと言うのはそう言う人だ。
集められた20人程のジュニアは先ず二組に分けられた。
舞台の右(上手)から出るグループと、左(下手)から出るグループだ。
シブがき隊が新人賞を受賞したと言う設定で舞台の両サイドから元気良く「おめでとう!」とステージ上に飛び出す練習から始まった。
そしてシブがき隊を囲むように集まり祝福する。
全員が祝福に駆け付けたように見えるまでジャニーさんがじっくりと見守った。
それが終わると『受賞曲』である『100%…SOかもね』を歌い始め取り囲んだ「ジャニーズジュニアが段々広がって踊り出す」と言う芝居である。
それが終わるとようやく踊り始めた時の位置決めを決め始めた。
当然の事ながら少年隊ジュニアのメンバーはシブがき隊の真後ろで最もテレビに映る場所である。
ジャニーズジュニアが同じ事務所のタレントのバックで踊る場合、真後ろで踊っているのは次にデビューするであろう予備軍である事が多い。
踊りの上手い、下手は関係はない。
もっともある程度踊れなければ使って貰えないえないのは当然である。
この位置決めはジャニーさんが最も時間をかけて入念に行われた。
今回は大沢樹生君、中村成幸(後に繁之に改名)君、宇治正高君、内海光司君の4人が既に少年隊ジュニアとしてシブがき隊のテレビ番組にレギュラーとして出ていた事もあり真後ろになった。
余談だが翌年石川博文君を加えてイーグルスとしてデビューする事になる。
僕はボビーさんに1列目の一番右側、つまりテレビ画面では左の端に映る場所で踊るように言われた。
その事に関してジャニーさんは何も言わなかった。
一例目の真ん中、二列目の真ん中、一例目の両サイドそして2列目の両サイドを決めた後に全員が一度シブがき隊を取り囲むように小さく輪になった所から振り付けがスタートした。
曲が始まって最初の12小節のフレーズは受賞したお祝いをするようにその場でワンステップを踏みながら手拍子をする。
残りの4小節のフレーズで自分の位置に行き踊り出すための細かい振り付けをしていく。
今まで幾度も踊った曲なので自然に身体も動くようになっている。
振り付けもスムーズに進行して2時間ほどで終了し休憩になった。
するとジャニーさんが言った。
「ユーたち、今回は衣装ないからね! 私服だからね!」
「はい!」
「応援に駆け付けたんだから、出来るだけ派手なそれっぽい格好にしてくれる?」
と付け足した。
この私服と言うのは結構悩むし困る。
踊りやすい格好で派手目な色使いで他のジュニアと被らないようにしなければならない。
シャツにジーンズのようなシンプルな格好もNGであり、トレーナーやカラーシャツだけだと貧相に見える。
かと言ってジャケットだとよそ行きすぎる上にシブがき隊より年上に見えるから人によってNG。
そして時期が年末の大晦日である。
ジャンバーを脱いで下に着ているような格好でないと違和感がある。
僕は彼女と色違いで買ったディズニーキャラクターのセーターを着る事にした。
色使いも良く「見つけやすい」と思ったからだった。
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■ 彼女との出会い ■
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