Johnny's

第89話「ロケと演技と役作り」

たけJI

[box03 title=”第89話「ロケと演技と役作り」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]


撮影のリハーサルで「カット」がかかり演出のスタッフが走ってきた。

「洋司は振りかえる体勢がちょっとわざとらしい! 初めから振り向くのが解ってるように見えてるからそこを直して!」

と言う指摘をされた。

撮影に入るとスタッフからは役名で呼ばれる。

自分の中でも、役になり切って行く気持ちになれる。

確かに今の演技は「いただけない!」と自分でもそう思った。

テレビカメラを意識して、イルカさんが声を出した瞬間にロボットダンスのように動きを止めてしまったのだ。

アシスタントディレクターは他の若葉寮生の所へ行き、ディレクターからの指示を伝えている。

再び、別の若葉寮生の所へ行き、指示を伝えていた。

そして要約、ディレクターのいる場所へ戻った。

一度ミスをするとスタッフにこんなにも時間や手間を取らせてしまう。

反省の念に駆られた。

「はい! それではランスルー行きます!」

と声がかかった。

本番と全く同じようにやるのだ。

「カメリハ」は文字通り「カメラリハーサル」なので、カメラマンや演出サイドのリハーサルである。

役者はカメラリハーサルとランスルーで芝居の間合いや呼吸、感覚を合わせて本番に挑むのだ。

今度はミスをしてはいけない。

緊張と集中。

遠くにいるディレクターの声を集中して聞く。

「5秒前、4、3」

僕はクワを持ち上げた。

そして振りかぶり、地面に叩きつけた。

それを繰り返す。

土壌はあまり良くは無いが、耕せば野菜などは育つだろう・・。

そんな事を思っていると、寮の玄関から「イルカさん」扮する「圭子先生」が出てくるのが見えた。

何かを叫んだ。

僕はクワを持つ手を緩めイルカさんの方を見た。

「カット!」

今度は普通に演じる事ができた。

問題は無かったようだ。

ほんの数秒なのだが、「素」の自分ではない自分にならなければいけないと思った。

思えばジャニーズに入って、「ダンスレッスン」は毎週していたが、芝居の稽古などはしたことが無い。

「ダンスができる子は芝居もできる」

が、ジャニーさんの持論である。

ダンスを通じて、振付の先生や演出家が求めていることを読み取って表現する事は覚えた。

芝居も一緒で、演出家(ディレクター)が何を求めているのか?

渡された台本にある情景は何を役者に表現させようとしているのか?

脚本家の岩間さん言われた「朝倉洋司」と言う少年はどんな子でどう言う考え方をする子なのか?

それを考えながら表情や演技をしていく。

少しづつ、自分ではない少年を作り出していく。

今度は慌ただしくメイクさんが出演者の所へ行き、メイクを直す。

音響さんはマイクチェック、照明さんはレフ板の微調整をしていよいよ本番に入る。

僕の元へスタッフが来た。

「今の感じで、オーケーだから、本番も宜しく!」

と言って走っていった。

気持ちを作り直して本番を迎える。

再び緊張感が漲る。

「本番いきます! 10秒前! 9、8、7、6、5秒前!」

僕は先ほどと同じように気持ちを作り、同じような演技をした。

「カット!」

と、声がかかる。

続けて「モニターチェックします!」

と、声が響いた。

「はい!このシーンはOKです!」

の、声にようやく安堵の笑みを浮かべた。

ほんの10秒程度の撮影に30分以上もかかっている。

ドラマの撮影は時間がかかるものなんだとつくづく思った。

続いて、カメラの位置を変えて、矢崎さんやイルカさんのシーンを撮影した。

同じシーンでも、カメラの位置を変えて同じ演技をする。

1台のカメラで色々な角度から撮影するのだ。

この日は相模湖ピクニックランド内のオープンセットの周りで若葉寮のシーンに半日をかけ撮影した。

その後、相模湖ピクニックランド近くにある河原へ移動する。

河原では撮影とは別のスタッフがあらかじめ準備をしていた。

焚火の上に大きな鍋でカレーをってある。

別の焚火では飯盒炊飯でご飯を炊いていた。

みんなで河原で楽しそうにしている様子を撮影したのだ。

このシーンの撮影は比較的早く終了した。

みんな生き生きと、楽しく遊んでいる感じで撮影ができた。

モニターチェックを見たが、大きな鍋はほんの一瞬見えるだけだった。

鍋の中に本当にカレーが入っているとは思わないだろう。

しかし、そんな細部にまで拘ってドラマと言うのは作られているのだ。

撮影終了後、出演者、スタッフ全員でそのカレーライスを食べた。

アウトドアな雰囲気に連帯感が生まれた気がした。

こうしてロケの初日は終わった。

翌日から皆は「第1話の収録」に入る。

渡された台本に、スケジュールが印刷されていた。

撮影に参加する出演者欄には〇印や、時間などが書いてある。

しかし、朝倉洋司と言う僕のスケジュールは空白だった。

「第4話」まで撮影はお預けなのだ。

そのため、約一ヶ月半は、僕は休みになる。

休みになる前に撮影の雰囲気を味わえてよかった。

僕以外の出演者は明日は緑山スタジオでの収録が始まる。

しばし、仲間との別れになる予定だった。

第88話「初めてのテレビロケ現場」第90話「緊急招集! 緑山スタジオへ急げ!」

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