第8話「DISCO」
[box03 title=”第8話「DISCO」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]
「母親を泣かせてしまった事実と罪悪感」だけがいつまでも心に残った。
色々考えたが叔母さんの店だって、直ぐに働ける訳ではない。
他に仕事を探した所で、高校中退の16歳のガキにまともな働き口など無い。
「100万円置いて学校辞めて家から出ていけ!」と言った親父の台詞がリフレインする。
親の為と言う訳では無いが、しばらくは我慢して学校に行く事にした。
しかし「それが正しい選択だった」と後から気付く事になる。
この件の後、人生が少しずつ好転し始めたのだ。
まずは学校で新学期が始まるとクラス替えがあり、1年の時とクラスメイトがガラリと変わった。
それまで付き合っていた悪友から、新しく付き合い始めた友達の影響で僕も変わり始めた。
どちらかと言えば「ツッパリ」だった悪友から今風に言えば「チャラい」仲間と付き合い始めたのだ。
授業の合間に「俊ちゃんスゲーよ! 」と言っては、田原俊彦の振り真似をする奴がいて皆を笑わせていた。
『哀愁でいと』でデビューしていた田原俊彦の足上げを真似するのだが、全然高く上がらない。
歯をくいしばり「ふんっ! 」と上げるが、足首も膝も曲がって胸の高さまでしか上がらない。
にもかかわらず、涼しげな顔で歌って踊るのだ。
皆が大爆笑をしている。
すると急に「お前もやれよ! 」と言われ、やらされる羽目になった。
7人~8人が輪になっている真ん中に引っ張り出された。
空気を壊すのも嫌だし、仕方なく、何となく、覚えていた振りを真似、足を上げてみた。
すると、顔を蹴りそうになるぐらいに足が上がった。
これには自分が一番驚いた。
「おー! 」
「スゲーじゃん! 」
「俊ちゃんみたい! 」
と歓声が上がりその気になった。
「足を上げる」などと言う事をした事も無かった。
どちらかと言えば「男が踊るなんて格好悪い」と思っていた方だ。
それがただ、足を上げただけで歓声が上がるとは思ってもいなかった。
突然1人が言い出した。
「なあ、今週の土曜日、皆でDISCOに行こうぜ! 」
「おうー! 行こう! 」
「新宿行くか!? 」
「六本木行っちゃうか? 」
「バカ! 高いよ!! 」
「歌舞伎町だろ! 」
「よし行こうぜ! 」
と僕以外の6人が盛り上がり、結局男7人で週末新宿歌舞伎町のDISCOに行く事になった。
勿論初めての体験である。
まさか、このDISCOから新たなる出会いと始まりがあるとはこの時は思ってもいなかった。
懐かしい「田原俊彦」さんの歌声は↓コチラから
懐かしい「近藤真彦」さんの歌声は↓コチラから