第98話「ジャニーズジュニアからの脱出」
[box03 title=”第98話「ジャニーズジュニアからの脱出」”]あの頃のジャニーズ 夢と彼女とジャニーズと [/box03]
第4話の撮影が終わると2日間の休みを経て第5話の撮影に入った。
この頃には第1話の放送も終わりロケに行くとドラマの反響が如実に現れた。
ロケ先でバスから降りると人だかりができるようになったのだ。
色紙を持って来てサインをせがまれる事もあった。
ちょっとした芸能人気分である。
だからといって天狗になりはしないが、少し浮かれていたのは事実である。
緑山スタジオには親父の車で通った。
「マイケルジャクソン」
「ライオネルリッチー」
「スティービーワンダー」
を大音量で聴いてご機嫌だった。
緑山スタジオの駐車場にはイルカさんのベンツ、柴田恭兵さんのベンツのオープンカーがあり、その隣に停める事が多かった。
芸能人と同じ場所に駐車している事でモチベーションが上がった。
ジャニーズジュニアの中でドラマに出演して車を運転しているのは僕だけだ。
「ただのジャニーズジュニア」から「1人の芸能人」として認められたかった。
早く「ジャニーズジュニア」から脱出したかった。
勘違いも甚だしい。
しかし第4話が放送されれば人気が出る。
人気が出れば田原俊彦、近藤真彦、シブがき隊、野村義男、イーグルス、少年隊の次にデビュー出来ると本気で思っていた。
ジャニーズジュニアから脱出して、一人のタレントとして活躍をする事を夢見ていた。
この頃から現場ではユタカ役の斎藤康彦君と気が合い良く話した。
レコードデビューもして、役者としても活躍していた彼だが、気取ることもなく車や音楽の話で気が合った。
1度、小田急線の鶴川駅まで迎えに行った事がある。
その時一緒に戸川京子さんシロー役の北川剛君とも合流して3人を乗せて緑山スタジオに向かった。
車内では斎藤康彦君の饒舌な喋りで大いに盛り上がった。
また、スタジオでの楽しみの1つに社員食堂へ行く事があった。
蕎麦、寿司、ラーメン、定食などが百円玉数枚で食べられるのだ。
僕はそこのタンメンが好きで、お酢を半分近く入れて食べる。
それを見て斎藤康彦君はビートたけしさんのような口調で言った。
「やっぱりジャニーズは違うね、身体を柔らかくするために日頃から身体をお酢漬けにしてるもんね!」
一緒にいた役者たちを笑わせていた。
同じ頃、隣のスタジオではドラマ『ふぞろいの林檎たち』の収録が始まった。
食堂では出演者の時任三郎さん、中井貴一さん、柳沢慎吾さんの姿を良く見かけた。
時には、隣のテーブルになった事も有った。
同じ空間で、すぐ近くで芸能人と会う。
自分も芸能界にいるんだという事を実感した。
待ちに待った第4話がついに放送される日がきた。
自分が出演しているドラマがゴールデンタイムに放送され名前も顔もテレビ画面一杯に出るのだ。
僕は昔の友達や知り合いから連絡が来るのではないかと期待していた。
しかし放送が終わっても、なんの反響も無かった。
視聴率もあまりかんばしくなかったようである。
プロ野球中継で放送日がずれたこともあったが誰からも何の連絡もない。
彼女に電話をして感想を求めたが帰ってきた答えは
「ドラマの中の人間は明じゃないから!」
だった。
それ以上何も聞く事も出来ずに電話を切った。
気持ちが萎えはじめた。
あれだけ必死に演じて、脱臼をも乗り越え頑張ったのに見てくれた人がいないのだ。
宣伝はしていないが、金曜日のゴールデンタイムなら中学時代の友達や高校の同級生、親戚縁者を含めもっと反響があるだろうと思っていた。
そんな折電話がかかってきた。
「ファンレターが届いているので取りに来て下さい!」
ジャニーズ・ファンクラブ通称ファミリークラブからだった。
渋谷のファイアーストリートと言う通りのビルの一角に有る。
因みにファイアーストリートとは渋谷消防署通りの俗称で土曜日、日曜日ともなれば物凄い数のジャニーズファンでごった返す。
僕は撮影が休みの日を利用して、三好圭一君と一緒に平日の昼間に行く事にした。
到着すると女性スタッフの案内でファンレターが仕分けされている部屋に入った。
中には俊ちゃん、マッチ、シブがき隊、少年隊、イーグルスのメンバーなどのファンレターが管理されている。
僕は10数枚のファンレターを手渡されたが、三好圭一君には段ボール箱1箱分のファンレターが届いていた。
「三好圭一の人気の凄さ」に驚愕すると共に「自分の人気の無さにあ然」とした。
人気と言うやつは自分ではどうする事も出来ない。
自分を磨いて精進するしか無いのだが、その頃の僕には、そこまでの余裕は無かった。
三好君に軽い嫉妬を感じそんな自分が嫌になった。
帰宅して1通1通に目を通す。
九州は大分県からの手紙、鳥取県、愛知県、静岡県、栃木県、北海道と日本全国から届いていた。
改めてテレビの凄さを感じた。
内容は朝倉洋次の生い立ちや家庭環境に対しての励ましや意見が多かった。
僕は一抹の不安を抱えはじめた。
人気も無くて果たしてこの先どうなるのだろうか?
この頃には、第4話が放送されれば人気が出る。
人気が出れば田原俊彦、近藤真彦、シブがき隊、野村義男、イーグルス、少年隊の次にデビュー出来ると言う気持ちは微塵も無くなっていた。
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